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トランス・レイヴ・ドーターズ ロング・インタビュー・2007・12 (4)
こんにちはトランス・レイヴ・ドーターズです
インタビュアー: musashi (Trance-Rave Production)
  • トランス・レイヴ・ドーターズ始動!!
トランス・レイヴ・ドーターズ Trance-Rave Daughters

リル

インド・ネパールでは、感動的な話はいっぱいあったんです。神秘的な体験もいろいろしたし・・・。

でもやっぱり私らが感動したのは、アキさん芙苑晶)と凄い再会をしてしまったんですね。

アゲハ

そうそう。あれは凄かった、ほんとに。っていうのは、もう、アホなことに、アキさんゴアのコテージ・ハウスの住所書いたメモを、どこかに失くしてしまったんですわ(苦笑)。

リル

アゲハがジーンズのポケットに入れてたのに、どうしても見つからない。

それでもう、二人で半泣きになって、安宿の、四畳半ぐらいの狭い部屋で、いつまでも泣いた。私ら二人とも、究極のアホじゃない? って(笑)。

アゲハ

でも、もうええやん、死ぬまで踊れ!! って感じで、ゴアのビーチで連日踊ってましたね。半分ヤケクソで(笑)。

 
トランス・レイヴ・ドーターズ 芙苑晶 Trance-Rave Daughters AQi Fzono トランス・レイヴ・ドーターズ + 芙苑晶
(Trance-Rave Daughters + AQi Fzono)
「Moog Trance Universe」 (2000)

リル

そのあとも、それらしき場所を回って捜したり、人に聞いたりしてたけど、アキさんは見つからなかったんですよね。

アゲハ

ところが、ある日突然、ほとんど忘れかけてた頃に、思いがけない場所で出会ってしまったんです。もう、これって異常な偶然なんですけど。

リル

ゴアのパーティがあるじゃないですか、海岸のほうで。パーティが終わったあと、もう夜近い時間かな、私とリルが歩いてたら、遠くのほうに人影が見えた。

恐かったけど、近づいていって、私が声かけたら、なんとそれは本物のアキさんやった。

アゲハ

アキさんの借りてた家は、ちょっと離れてたけど、案外近くに住んでたんですね。だからすれ違ってたんです、毎日。

リル

で、私らは私らで、パーティでかけてもらえたらええなって、自分らのオリジナル曲のデモを入れたDATを持ってきてたんです。

それをアキさんが聞いてくれて、「俺がプロデュースしてやるから、ドーターズの1stアルバム作ろう」って言い出した。

そのあと、ドーターズがまがりなりにも世界各地に飛んで行けたのは、アキさんの紹介があったのと、

もう一つは、私ら自身がそのあと、インド・ネパール方面にしょっちゅう行くようになって、レイヴァーの人たちのコネクションが出来たこと、この二つが大きかったですね。

アゲハ

それで、二人でインドで曲のスケッチを書いて、次にアキさんがニューヨークのスタジオに戻る時に、私らが一緒について行って、ドーターズの1st (Moog Trance Universe)をレコーディングしたんですね。それが公式のアルバム・デビュー。

あの当時、アキさんはリタイヤしてて、TRDのプロデュースの仕事を最後に引退するつもりやったらしいですけど、三年ぐらい経ってまた復帰してくれたんで、嬉しかったですけど。

  • トランス・レイヴ・コスモロジー
    (Trance-Rave Cosmology)
トランス・レイヴ・ドーターズ Trance-Rave Daughters
 
芙苑晶 with トランス・レイヴ・ドーターズ
(AQi Fzono with Trance-Rave Daughters)
「恍惚的宇宙論/トランス・レイヴ・コスモロジー (Trance-Rave Cosmology)」 (2007)

Q

それで6年ぶりに出たTRDのニューアルバムが今度の『トランス・レイヴ・コスモロジー (Trance-Rave Cosmology)』という流れになると思うけど、これはレビューもいくつか出てきてるし、売れ行きもなかなか好調みたいやね。

俺、感心したんよ。ドーターズのミックス、かなり効いてるなあってと思ってさあ。

アゲハ

いや〜照れますわ。ありがとうございます(笑)。

Q

いや、お世辞じゃないすよ。昨日も俺、車ん中で聞いててさ。オリジナルと聞き比べたりして。ドーターズ、ミックス上手いやんって。

リル

DJに関してはプロっていう自信はあったけど、レコーディングは奥が深いから。

そういう意味で、今回初めて本当の意味で、プロとしての第一歩を踏んだな、みたいな。そういう実感はあったよね。

Q

俺が今度のアルバムで印象に残ったのは、オリジナルの新曲で、「Japanese Zippie Youth」が面白かったけど、この曲は、爆音のブレイクビーツアゲハのヴォーカルが強烈やね(笑)。

リル

もう、夜十時過ぎて聞いたら寝られない曲っすわ(笑)。

アゲハ

この曲には、ちょっとした裏話があるんですね。どうしてこんなタイトル付けたかっていう。

曲が完成しかけた段階で、タイトルどうしようって悩んでたんですわ。ちょうどその頃、私らがクラブで知り合った若い女の子がおってね。

年聞いたら17って言うから、「学校は?」って言うと「行ってない」って。
「プー?」って聞いたら「うん。でも、行くとこないし」とか言うから、「じゃあうちに泊まりにおいでーや」って言うたら、なついて付いて来て(笑)、その時分かったんやけど、その子、実はなんと14才の中学生の女の子やった。

Q

何なんすかそれは??

アゲハ

いやー、もうヤバい話なんすわ。ようするに家出少女で、ホームレスになってるねん。だいぶ前に家出して・・・。

っていうのは、その子の親がひどい人で、幼児虐待とかいろいろあったらしくて、それがバレて施設に入れられたんやけど、その施設でも「いじめ」みたいなことがあったらしい。

それが一年前やから、13才の時ぐらい? で、そのあとずーっと都会の中でウロウロして、放浪生活してるって言うねん。

リル

あの話は、たまらんかったなあ。

アゲハ

それでクラブとか、駅とか公園とかそういうとこで寝泊まりして、夜明かしして・・・。もう悲惨な生活。

でも、その子だけじゃないねん。他にもそういう女の子とか男の子がいて、グループ作ってんねんな。

Q

いわゆる「プチ家出」いうやつ?

アゲハ

うん、最初はプチ家出やったらしいけど、それがだんだん度合いがひどくなって行くと、ほんまに浮浪者になってしまう。

私らがその子と会った時は、ほとんど浮浪者になってた。いちおう身なりとかはちゃんとしてるんですよ、でも、実際は家はなくて、無茶苦茶な生活してる。

もう一瞬、どないしょうって思って、でも私ら、どうしたらええのか分からへんし、そしたらフッと、昌美さん土井昌美ファー・イースト・アシッド・ハウス・クワルテットの元・マネージャー)やったら子供さんもいてはるし、こんな話対処出来るんと違うかなって、電話してみたんです。

リル

それでそのあと昌美さんが動いてくれて、教育関係の人とかにも相談したり、色々したけど、親はもうダメでしょうっていうことで・・・

結局すったもんだあったけど、昌美さんの知り合いで、たまたま養子を欲しがってる人がいたんで、その家出の子はその人のところに行って、今は高校に行って、何とかなってるみたいですけど。

アゲハ

私がショックやったのはね、今の日本にはそういう十代の子がおるっていうのは知ってたけど、ほんとに生で見たのは初めてやったし、そういう家出した子の実態とか、ネグレクトって言うて親の育児放棄ですね、そういうものの実態を聞いて、ほんとにショックやったんです。

家出して浮浪者になってしまうような子っていうのは、ほんの一握りやと思いますけど、でもその予備軍まで含めたら、一体日本全国に何人おるんやろ。

予備軍まで行かなくても、一見裕福に平和に暮らしてるような子でも、内心親を軽蔑しきってて、こんな親は死んだらええのにとか思ってるような子とか、そんな十代の子まで含めたら、凄い数なんと違うかなって。

  • 「日本は大丈夫っすか?」
トランス・レイヴ・ドーターズ Trance-Rave Daughters

リル

ちょうどあの曲を作ってた時に、アゲハとその話になって、あの曲のモティーフが出来たんですね。

だから最初は「プチ家出」っていうタイトルやったんですんけど、それはひどいってみんなに言われて(笑)、アゲハが「Japanese Zippie Youth」っていうタイトルを付けた。

アゲハ

Zippie (ジッピー)」って、日本ではあんまり知られてない単語ですけど、これは90年代半ば以降の、新しい世代のヒッピーのこと。
トランス・ヒッピーテクノ・ヒッピーレイヴ・ヒッピーとか、クラブ・ヒッピーみたいな言い方もあると思うんですけど。

でも大きく言うと、クラバーとかレイヴァーに限らず、今のネオ・ヒッピー的な若者たちっていう意味になるそうです。

リル

ニートとか、ひきこもり、とかね。拡大解釈やけど、アリやと思う。

アゲハ

そういう子は今の日本にいっぱいいる。私らもある意味、そうですけど。

問題は、なんで今の世の中にそういう子らがそんなにいっぱいおるんか、とか、みんなが脱出できる糸口はあるんか、っていうことで、

それは裏返せば、「日本は大丈夫っすか?」っていうテーマになると思ったんですね。それがこの曲のもう一つのモティべーションになってる。

 
村上龍 13歳のハローワーク 村上龍・著 『13歳のハローワーク』

 

話が飛ぶけど、ちょっと前に、村上龍さんが『13歳のハローワーク』っていう本、出したんですね。

私は本屋で立ち読みして、面白そうやったから買って読んで、いろんなこと考えるようになってね。やっぱり日本も変わってきたなあって。
そういう実感がひしひしとしてきたんですね、最近。

リル

私らはミュージシャンなんで、小説家でも教育者でもないんで、大きなことは言えないんですけど、音楽が持ってるもう一つの力っていうのは、目に見えないメッセージやと思うんです。

アゲハ

私らが今、あえて顔出ししたくないっていうのは、そこもちょっとありますね。
顔出すと、メッセージ性の部分は逆に弱くなるから。

リル

でもたとえば、ファー・イーストTRDを比べた時に、決定的に違うのは、ファー・イーストはやっぱり、天才の集団で、しかも四人ともそれぞれにタイプの違う天才やったから、あんな凄いことが出来たし、あとになって伝説化されたんやろうって思うんですよ。

こないだ、ドキッとしたんですよ。二人とも今年で、27になったでしょ。カヲルちゃん市川カヲル)が死んだのが、ちょうど27なんですね。

だからファー・イーストのメンバーは私らと同じぐらいの年代には、その年にはもう、自分たちの仕事はもうほぼ終わってて、バンドは解散しようかどうしようかって言うてたわけで・・・。

でも私らは天才じゃないから、あんな凄いことは出来ない。
でも、逆のことも思うんですね。ファー・イーストのメンバーとは世代も違うし、私らには私らにしか出来ないことがあるやろうって。

Q

ドーターズにしか出来ないこと」って何でしょう?

リル

うん。ついこないだも、アゲハと二人でしゃべってたんすわ、おこたに入ってミカン食べながら(笑)。一つ大きなテーマは、「融合」みたいなのがあるんです。

たとえば、日本におけるトランスという音楽は今、二つの流れがあるでしょ。ポップスとしてのトランスと、よりアーティスティックな方向のトランス。

アゲハ

もうちょっと細かく具体的に言うと、たとえばサイバートランスに代表されるような、エピックないしはヴォーカル・トランス的な流れと、サイケデリック・トランス/ゴア的な流れ。

他にも分類の仕方はいっぱいあると思うけど、大きく分けるとその二つがある。その二つを融合していく方向があると思うんです。

リル

ようするに、POPな曲も作れば、サイケデリック・トランス系も作れば、時にはエレクトロニカに近いような実験的な曲も作ってみてもいいし。ロックとかクラシックを入れてもええと思うし。

そうやって、いろんなことにチャレンジしながら、「トランスとは何か?」っていうテーマでやっていきたいなと。まあ、だいたいそういう目標ですね。

  • ゴアパン普段着にしてました
トランス・レイヴ・ドーターズ Trance-Rave Daughters

アゲハ

なんでそういう話になったかと言うと、私ら自身が凄く方向性を悩んだ時期があったんですよね。

あの頃、だから2001-02年ぐらいですかね。日本のマスメディアが「トランス・ブーム」みたいな形で採り上げたことがあったでしょ。

それによってトランスが広く認知されるようになったっていうのは嬉しかったけど、反面、とくにサイケデリック・トランス・パーティとかそういう方向から見た場合、そういうメディア側からの「あおり」によって、せっかく若い世代が育ててきたカルチャーが風俗化する危険も出てきたわけじゃないですか。

リル

それは私らだけじゃなくて・・・これはちょっとコアな話になるけど、ゴア/サイトランス方面のレイヴァーの人たちの中には、ああいう「あおり」に対してかなりカチンと来てた人も多かったんです。

アゲハ

片や、最近トランスがあまりに商業化しすぎじゃないか、っていう批判も、一部のリスナーの人たちの中でありました。今もまだあるかも知れんけど。

リル

私ら自身は、音楽的にはトランスならオールラウンドOKっすよ、あんまり色物過ぎとかじゃなければ。

でも、サイトランス系のパーティに関して言うと、このまま行くとヤバいんちゃうかなって思ってたから。

アゲハ

私ら自身について言うと、私らがそういう悩み方をしてたのは、今にして思うと、若さゆえの反動もちょっとあったんです。

って言うのは、その当時私らはまだ了見が狭かったんで、もうゴア/サイトランス一辺倒やったんですね。それ以外はトランスじゃない、ぐらいの思いこみすらあった時期なんで。

 
ハルシノジェン Hallucinogen Twisted ハルシノジェン(Hallucinogen)
「Twisted」 (1995)

リル

1997 - 2002年ぐらい。あの頃は、聴く音楽もゴア/サイトランス系がほとんどで。Hallucinogen あたりからハマって、Astral Projection とか、Man with No Name とか。もう濃いやつばっかり・・・(笑)。

アゲハ

Infected Mushroom とか、1200 Micrograms とか、アーティスト名だけでもう逮捕状出てるんちゃうん?? っていうぐらいヤバいから、レコ屋さん行っても速攻分かるねんな、匂いで(笑)。

リル

で、だんだん頭も逮捕状出てくる。嗅覚が全部そっちに向いて(笑)。そういう世界にハマって奈落へ落ちて行くねん。

アゲハ

そもそも、ジャケがどれも深すぎて恐いんですけど(笑)。

リル

曼荼羅とかUFOとかエイリアンとか・・・あっちこっち連れて行かれるんですけど(笑)。

アゲハ

パーティの名前にしてもAnoyo とか(笑)。

リル

日常に戻って来れないんですけど(笑)。

アゲハ

ああいうやついっぺんハマると、他の音楽が眠くてしょうがないっていう。トランスでさえ。プログレでもサイバーでも全部眠い(笑)。

リル

最低でも136BPMは行っといて下さいねっていう(笑)。

アゲハ

最低でもSH-101は使いこなして下さいねっていう(笑)。

リル

普段着もゴアパンやったりした時期あったぐらいで(笑)。

アゲハ

ゴアパン名人」言うだけあって(笑)。

Q

マジすか? ゴアパン普段着にしてたんすか?(笑)

リル

NYのグリニッチ・ビレッジとかインドのゴアあたりやったらアリかもしれんけど、日本におって、しかも大阪の下町で、近所のコンビニに買い物行く時とかでも、二人ともゴアパンで行ってみんなに注目されてたりした時期ですね(笑)。

Q

いや、いくら何でもそれはアブナい人やで、ちょっと(笑)。

リル

あ、ナシっすか?(笑)

Q

いや、俺的には全然アリやけど、一般市民の立場に立って考えてみれば、けっこうキワキワの線やな(笑)。

アゲハ

それで、2002年頃やったっけ? 私らがニューヨークのアキさんのスタジオに寄ってね、喋ったんですね。
「トランスはこれからどうなってしまうんでしょう」って。

そういう危機感が私らの中にかなりあったから、相談したかったんです。

リル

それで、相談したんですよね。「私らはこれからどうしたらいいかなあ?」みたいな感じで。

アゲハ

もうトランスは終わりかなあ?」って。そしたらアキさんは逆のことを言った。「トランスは、これから始まると思う」って。

Q

いや、面白いね、それ。アキさんらしい。

アゲハ

でしょう? 逆転の発想って言うか。

つまり、アキさんが言うには、これからは「融合」の時代やって言うんです。
21世紀は、全てがその方向に動く時代になるって。

  • 「ゴアパン名人」から
    「トランス・レイヴ・ドーターズ」へ
トランス・レイヴ・ドーターズ Trance-Rave Daughters

リル

あれはほんまに、コロンブスの卵やったね。言われてハッとした。目が覚めたって感じ。

ある意味、その瞬間からほんとうの意味で、「ゴアパン名人」から「トランス・レイヴ・ドーターズ」に進化した気がする。

で、そのへんの「気づき」が結局、今度の「トランス・レイヴ・コスモロジー」の制作のモティーフにつながってる、私らの中で。

アゲハ

だから、初期から見ててくれた人には、ドーターズ = インドとか、ゴアっていうイメージが定着してしまってるかも知れんけど(笑)、今はそうでもない。

リル

最初の頃なんてもう、ヴォーカルが入ってるだけで拒否反応起こしてた時期すらあったぐらいやけど、でもその時期を境に脱皮して、トランス全般オールラウンドにっていうスタンスに変わっていったから。

アゲハ

実際、それで正解やったと思う。
一つのスタイルに凝り固まって、それ以外を批判するなんて、簡単なことやし。

リル

だから今は、基本的には何でもアリですね。

たとえば二人とも、みんなも好きなサイバートランスのコンピとかビクターのトランス・レイヴ・ベストのヒット曲集めたシリーズとか、メッチャ好きで、あのシリーズだけでも200〜300枚とか持ってるんちゃうかってぐらい。

アゲハ

だから私らのスタジオには、それ用のCD棚があるっていう(爆)。

リル

ちょっと前やったら、Dancemania とか Super Best Tranceとか、ああいうシリーズ。元々ユーロの流れの、トランス・ヒッツ集みたいなやつ。

アゲハ

どれもおんなじような感じやねんけど、聴いてるとそれぞれに違いがあって、時々名曲にぶち当たる。ヴェルファーレのサイバートランスのシリーズはええ曲が多い気がするね。

リル

ただしあのシリーズは流行り物やから、その時買わんとすぐになくなるから要注意やねん(笑)。

アゲハ

だから時々二人でCD屋さん行って、中古のコーナーにあるやつ二人でバーッと買いまくる、1枚300円のやつ、30枚ぐらい(笑)。

リル

私の携帯にリストが入ってるけど、時々間違えて同じやつ2枚とか買うて、その同じ中古CD屋さんに売りに行ったりして(笑)。

アゲハ

最近なんかリスニングで聴くのは、あっちのほうが多いかも知れん。

リル

聴いてて気持ちええし(笑)。 あれって、大阪から東京までずーっと車で走ってる間中聴いても全然持つねん(笑)。

アゲハ

車に合うねん(笑)。ゴア・トランスとかでずーっと運転してたらヤバそうやけど(笑)。

リル

脳天アゲアゲ持って行かれて名古屋あたりで事故るかも知れん(笑)。

アゲハ

だから結局、自分たちの変なこだわりを捨てられたのも良かった。何が一番恐いかと言うと、そのまま行ってしまうと、パターン化して、トランスっていう音楽がすっごい狭いジャンルになってしまう恐れがあるんですわ。

これはトランス・シーンに対して良くない。ポテンシャル落ちていくから。

リル

横に広がっていかないし。それだけに固まってしまったら、他のジャンルの人が聴かなくなってしまう可能性もあるし。そのうち、飽きられてしまう恐れもあるし。

アゲハ

だから、私ら自身、固まりたくないって言うか、むしろ「広げる」方向で考えたいんですね。

リル

もう一つは、宇宙にトランスするとか、別世界にトランスする、異次元にトランスするとか、そういう内面的な意味もありますよね。ほんとはそこから出発した音楽やと思うんです。

そこらへんで面白いのがやっぱりアキさん芙苑晶)で、アキさんは「トランス」(Trance = 恍惚状態)の定義をそっちのほう中心に捉えてて、「トランス状態」っていうことにずっとこだわってやってるとこがある。

アゲハ

そういう意味で、かなり古くからやってる人ですけど、ある意味、未来のトランスを今から作ってる人なんじゃないかとも思うし。

片や、TRDの場合、トランスっていうジャンルに特化しても、ある程度そういうことが出来ると思うんで。

Q

いや、楽しみやなあ。どんどん広げて行って欲しいし、広めて行って欲しいです。

  • 日本のトランス・シーンを盛り上げていけたらいいっすね!!
トランス・レイヴ・ドーターズ Trance-Rave Daughters

Q

最後になるけど、今後、ドーターズの方向性としては、どういう活動を考えてますか?

アゲハ

そうですね。一つはまず、今後はライヴよりは、曲作りとかレコーディングに専念していきたいなっていうのはある。それは今言ったことが関係ありますね。

っていうのは、パーティ・シーンが面白くない、トランス・シーンがイマイチ盛り上がらない、っていう、そういう声もチラホラ聞くんですよね。

リル

クラブなんか行って喋っても、トランスはちょっとパターン化してきたなあとか、面白い曲ないすかね? って言う子とかも、最近はけっこう多いみたいやし。

アゲハ

ある程度はしょうがないと思いますよ。トランス自体、まだまだ新しいジャンルやからね。でもそれだけに、トランスはまだまだこれから、広がれると思うんですよ。

リル

だから、もっとオリジナル曲作りたいなって。

Q

じゃあこれからは、アルバム作りに専念する?

アゲハ

たぶん、その方向メインで行くと思うんですね。ライヴもまたやってもいいけど、もうこの十年ほどで、ある程度やり尽くしたところあるし。

リル

ライヴ、好きやねんけど、疲れるねん。のせいもあると思いますけど(笑)。

Q

年って・・・(絶句) 二人ともまだ若いやんか(笑)。

リル

でももう27やし。徹夜のパーティとか、最近そろそろヤバいしね(笑)。

アゲハ

もちろん、ライヴも機会があればもちろんやりたいけど、一つは単に、時間の配分の問題もあるんすね。

この先、何にどれだけ時間使うかっていう。

リル

たとえば、私らがインドのパーティに出たとして、日本の人は見に来れないじゃないですか。

でもCDだったら、インドの人でもアメリカの人でもドイツの人でも、もちろん日本の人も、同じように聴けるわけですよね。

アゲハ

あるいは、年に100回レイヴに出るより、2年かけて1枚アルバム作って、出来たアルバムがその後10年、不特定多数のいろんな人たちにずーっと聴かれたとしたら、そっちのほうがもっと大きく届けられるかも知れんし。

リル

それも「広げる」っていうことの一つやと思うんですね。ムーヴメントを少しでも作っていくって言うか。

  • おこたでの喋りトランスの中から、未来のトランスが生まれてくる!!
トランス・レイヴ・ドーターズ Trance-Rave Daughters

Q

なるほど。もう一つ、TRDと言えば、昔から見てた人にとっては、野外トランス・パーティっていうイメージが強いと思うけど、今のドーターズから見て、日本のトランスのパーティ・シーンってどうでしょう?

アゲハ

90年代以降、パーティ・シーンも大きく二つの流れになって来てると思うんですよ。一つは、大ハコ系のレイヴ。もう一つは、ファー・イーストがずっと昔にやってたような、アンダーグラウンドでの野外レイヴ

・・・ って言う、この二つの流れがあると思うんです。

どっちか分類すると、ドーターズは後者の流れですけど、この二つが融合するような方向もだいぶ前からあるし、その一方で、もっと独自に、野外レイヴを小さい場所で地道にやってる人たちもいるんですね。

私らがそういう場所で長くやってきたせいもあるけど、そういう手作り的な野外レイヴとか、友達レイヴみたいなものまで含めて、ああいうムーヴメントはこれからもぜひ続けて行って欲しいなって思いますね。

 
サイケデリック・トランス・パーティ・ハンドブック
(木村重樹・編) (2002)

 

いろいろ見てみると、日本にも凄くイイ感じのサイケデリック・トランス系の野外レイヴやってるチームが、各地にあるんですよね。

えこひいきになるといけないんで、名前は伏せますけど、捜せばいっぱいあると思う。ウェブとかでまめにチェックしたら出てくるんで、捜してる人はちょっと根気よく見たら、いいパーティきっと見つかると思うし。

リル

そういうマスメディアには採り上げられないような場所で、地道にやってるグループは、確実にありますんで。

アゲハ

面白いのは、ああいうサイケデリック系のトランス・パーティって、音楽とかダンスだけじゃなくて、いろんな文化のシーンと連動してるんですよね。ヒッピーとかシャーマニズムとか。

リル

大自然に触れよう、とか、に出てみよう、とか。

アゲハ

もっと大きく見ると、生き方にもつながる部分あるし。

リル

そこからいろんな発見があるって言うか。

アゲハ

本で言えば、清野栄一さんの「Rave Traveller - 踊る旅人」とかゴルゴ内藤さんの「太陽と風のダンス」とか、ああいうタイトルに象徴的やけど。

そういう広がりを持ったパーティでありカルチャーやと思うし、「ブーム」とかは関係ないですね、全然。

リル

逆に言うと、作られた「ブーム」が去ったからこそ、定着して来たとも言えるわけじゃないですか。

基本的にそういう、自発的なムーヴメントによって作られていくシーンなんで、「ブーム」とかに踊らされずに「踊って欲しい」って言うか(笑)。

Q

お、今の、うまい!! (笑) 座布団五枚あげるわ(笑)。

いや、でもそうすね、俺も同感です。

アゲハ

もう一つ、これはもう一回り大きな目標になってきますけど、これからのTRDとしては、日本の次世代のトランス・シーンを盛り上げるきっかけを、少しでも作っていけたらいいなって思ってますね。
これが今の時点での、TRDの目標って言うか、ある意味、最高の理想ですね。

Q

いや、凄くイイじゃないですか。ぜひ行って下さい。

リル

そうですね。そうなるといいなって。
まあ、ぼちぼち行きますよ。今は、溜めに入ってますわ(笑)。

アゲハ

だからもう、あんまり気張らんとね。全然マイペースで行きたい。

リル

どれだけ売れるとか売れへんとか、基本的にはそんなん関係なく。

アゲハ

それがTRDの基本スタンスやねん。今速攻ヤバいかどうかじゃなくて、ある程度遠くを見ながら行きたいですね。

リル

それとやっぱり、最初にも言うたけど、エゴはなるだけ捨てて行きたい。トランスは、変なエゴが入るとあかんと思う。濁ってくるから。

アゲハ

それと、リスナーと常に同じ目線で行きたい。仕事うんぬん以前に、私らもトランス好きの、ごくふつうの女の子やねん、っていうその部分は、絶対忘れたくないですね。それ基本。

リル

そこでまず、二人でおこたに入ってミカンをまず食う、と。
おこたでの喋りトランスの中から、未来のトランスが生まれてくる
、いう感じで(笑)。

Q

いやー、なかなかええ感じのエンディングになりましたね。

今日はほんとに、どうもありがとう。

リル

話、違いますけど、今度、三人で飲みに行きません? 
除夜の鐘聴きながら、とか(笑)。

アゲハ

あ、それええかも。喋りと酒で朝までトランスして(笑)。
私らも何人か友達、連れて行きますわ。

Q

いやもう、全然OKすよ。でもまたこのメンツやと、なんか濃い話になりそうやけど・・・
俺も覚悟して行きますわ(笑)。

(インタビュー・構成: musashi /
2007年11月29日・Trance-Rave Productionにて収録)
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