Far East Acid House Quartet - ファー・イースト・アシッド・ハウス・クワルテット
 
ファー・イースト・アシッド・ハウス・クワルテット( Far East Acid House Quartet )ファンサイト/資料館
Home - Japanese - English


「ファー・イースト」作曲とレコーディング

ファー・イースト・アシッド・ハウス・クワルテット ( Far East Acid House Quartet )

 

 

 

市川カヲル

  • 市川カヲルが単独で「作曲」した作品は数少ない。それは彼女が「ファー・イースト」の中でも最も演奏家タイプのミュージシャンだったせいだろう。
    が、前衛ジャズ出身の彼女らしく、楽譜には書き表せないような「うねり」を感じさせるリードライン(そのほとんどは、即興で演奏されたものである)が、「ファー・イースト」の音楽に多大な貢献をしていたことは否めない。
    本来レイヴ・バンドであった彼らにとって、市川カヲルの即興リードは、とくに彼らの本領であった長い組曲スタイルの作品−−−『Karma Sutra』(カーマ・スートラ)、『A Billion Nerve Needles(十億の神経の針)』などの、しばしば20分以上にも及ぶトランスの大曲において、狂気のようなうねりを感じさせる音楽を生み出す大きな要因ともなっていた。

  • 彼女が珍しく作曲した作品は、どこかジャズの憂鬱な雰囲気を感じさせるものが多い。「ファー・イースト」の音楽的な広がりは、田嶋エリサの民族音楽同様、市川カヲルの影響によるところも大きいと言えるだろう。

  • レコーディングでは、スペースDJリョウ、芙苑晶の二人についで熱心だったのは彼女である。
    とくにバンド初期においては、レコーディングに対して並々ならぬ関心を示し、とくにミキシング・コンソールやエフェクターなどを使った音作りにも参加している。
    田嶋エリサはメンバーの中では最も機材には疎かったが、市川カヲルは「女の子にしてはけっこう機械が好きなほう」で、打ち込みもそこそこ熱心にしていた。彼女はリョウからそれを教わり、田嶋エリサに打ち込みの方法を教えた。
    「ファー・イースト」の曲(とくに初期)では、市川カヲルが打ち込みを担当したパートもけっこう多かったと言われている。

  • 「ファー・イースト」の四人が各1台ずつ使っていた AKAI のシークェンサー「ASQ-10」は、市川カヲルが AKAI の営業マンから勧められて購入したものだった。彼女はこのマシンを気に入って、打ち込みに使うようになり、他の三人にも勧め、バンドはさらに3台を購入した。
    おそらく 2ndアルバム『心臓二金属ノ花咲ク(Metal Flowers Bloom On My Heart)』 以降ぐらいから、「ファー・イースト」はこのシークェンサーをそれぞれ1台ずつ自宅に所有し、作曲のデモ制作用に使っていたことが、インタビューからうかがえる。

  • 市川カヲルがよく使った楽器・機材は、他のメンバーと同じく Roland TB-303、そしてベースとリード用にミニムーグ、ソロ楽器はヤナギサワとセルマーのサックス、 AKAI のサンプラー、 AKAI のウィンド・コントローラー(シンセサイザーをコントロールできる管楽器型のデジタル・コントローラー)、リリコーン(管楽器として使えるシンセサイザー)などがあった。

  • 市川カヲルの死後、彼女の愛用したミニムーグは、残る三人のメンバーで相談のうえ、芙苑晶が引き取った。そのミニムーグは、芙苑晶の手を経て、トランス・レイヴ・ドーターズ( Trance-Rave Daughters )の香港リルに渡った。
    香港リルは、トランス・レイヴ・ドーターズの1stアルバム(芙苑晶との共作名義)『Moog Trance Universe』でそのミニムーグを使用している。そのミニムーグには、市川カヲルをはじめとする四人のメンバーたちのサイン入りという貴重な物であった。
 
  • 発言より >

  • 「私が Far East の曲で好きだったのは、たくさんあるけど、やっぱり一番好きなのはね、すごく長い長い組曲だな。トータルで24分とかあって、アナログのLPだったら片面全部いっちゃうようなやつ、たとえば『十億の神経の針』とか『カーマ・スートラ』とかね。
    ああいう変化に富んだ長い曲をレイヴでやる時は、客も盛り上がったし、私たち自身も熱くなった。私たちのレコーディングには、あの熱気がそのまま詰まっている。レイヴとのフィードバックがあったから。
    そういう意味でね、ああいうのは、 Far East にしかできなかった音楽だと思うの」

  • 「私たちはみんな、演奏はうまかった。自分で言うのも変だけど、並みのダンス・バンドと全然違うとよく言われり、プログレ系のファンが意外といたりなんかたのは、私たちがみんな演奏がすごくうまかったせいだ」

  • 「ダンサーだったエリですら、シタールやパーカッションなど、玄人はだしに弾けた。リョウは譜面が読めない、和音楽器が弾けないというコンプレックスがあったけど、元々ドラマーで、ドラムはプロ級だった。だからリョウの打ち込みはすごい。みんな器用だったのだ」

  • 「そこにアキのような人がいたので、音楽のグレードが上がった。アキが曲の構成をやってくれたお陰だ。それで、私たちはライブをやらせても打ち込みパート以外は全部生演奏で、プログレ・バンドも真っ青なぐらいにうまかった。それが私たちのレイヴの、あの特異な興奮を生み出した大きな原因だったと思う」

  • 「だけど、作曲ってなると話は別だ。作曲って簡単に言うけど、あれはほんとはすごく難しい。シンガーソングライターとかがギターでコードを弾いてチャラチャラ作ったような曲なんか、はっきり言って私でも作れる。シビアに言えば、ああいうのは音楽でも作曲でもなんでもないと思う。だってアレンジは人にやってもらうわけでしょ」

  • 「でも、そのアレンジというものこそが音楽であり、作曲なんだよね。日本人はそのことわかってない人が多すぎる。日本のポピュラー音楽のレベルが低いのは、きっと歌謡曲文化、カラオケ文化が未だに幅をきかせすぎてるからだと思う。カラオケをスタンダードとして考えて作られた音楽だ。だから、アレンジがロックだろうが、テクノだろうが関係なくて、ようするにそれはカラオケ・ポップスなのだ」

  • 「ライヴの時でも、アキの存在は大きかった。たとえば私は管楽器担当だけど、管楽器は、和音が出せない。管楽器でリードを取る時、アキが正確にキーボードでハーモニーを付けてくれていたから、厚みのある音になった。でも、ハーモニーなんていうのは目立たない。ところが、そのキーボードのハーモニーの音を抜いたら、管楽器だけだとペラペラの音になっちゃう。
    今言ったことは、ほんの一つの例で、そういうハーモニー的な構成がしっかりしていたから、「ファー・イースト」は他のバンドと違うサウンドになったんだよね」

  • 「とにかく、私たちのバンドの中で、ちゃんと曲を作れる人は、アキしかいなかった。音楽、とくに作曲的な面では、みんなアキを頼りにしていた。だから、彼がやめたいと言った時、もうこれでバンドは終わりだと、誰もが思った」

    (市川カヲル・エッセイ/インタビューより)
 
「ファー・イースト」作曲とレコーディング・トップにもどる
 
Home - Japanese - English
 
Web pages designed by Acid Head Organization Production, Japan.
(c)Acid Head Organization Production